介護事業所の必要書類とは?作成・保存が必要な書類と保存期間を解説

介護事業所では、指定申請の書類だけでなく、利用者との契約、サービス計画、提供記録、職員配置、研修、事故・苦情、介護報酬請求など、多くの書類を作成・保存します。

ただし、必要な書類と保存期間は、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、施設サービスなどのサービス種別や、事業所所在地の自治体条例によって異なります。

この記事の確認範囲

この記事では、介護保険サービス事業所に共通しやすい書類を整理します。自事業所の正式な必要書類は、サービス種別ごとの運営基準、介護報酬の算定要件、指定権者の条例・手引きで確認してください。

目次

  1. 介護事業所に必要な書類の結論
  2. 必要書類の7つの分類
  3. 指定・届出に関する書類
  4. 利用者・サービス提供に関する書類
  5. 職員・人員配置に関する書類
  6. 事業所運営に関する書類
  7. 介護報酬・加算に関する書類
  8. 事故・苦情などに関する書類
  9. 会計・経営情報に関する書類
  10. 書類の保存期間
  11. 電子保存するときの注意点
  12. 書類管理の進め方
  13. 必要書類の確認表
  14. よくある質問

介護事業所に必要な書類の結論

介護事業所が管理する書類は、大きく次の7つに分けると整理しやすくなります。

  1. 指定申請・変更届などの行政手続書類
  2. 契約書・計画書・提供記録などの利用者関係書類
  3. 雇用契約・資格証・勤務表などの職員関係書類
  4. 運営規程・各種指針・研修記録などの運営関係書類
  5. 請求控え・加算要件を証明する介護報酬関係書類
  6. 事故・苦情・身体的拘束などの対応記録
  7. 会計帳簿・決算書・経営情報報告などの経営関係書類

書類の名前だけでなく「内容」と「実施記録」が重要です

指針や計画を作成していても、委員会、研修、訓練、見直しを実施した記録がなければ、基準を満たしていることを確認できない場合があります。作成、周知、実施、評価、見直しを一連で管理します。

必要書類の7つの分類

分類主な書類主な確認場面
指定・届出指定申請書、更新申請書、変更届、体制届新規指定、更新、変更、加算届出
利用者・サービス契約書、重要事項説明書、同意書、計画書、提供記録契約、サービス提供、モニタリング
職員・人員雇用契約書、資格証、勤務形態一覧表、研修記録人員基準、資格、勤務実績
運営体制運営規程、業務継続計画、感染症・虐待防止等の指針運営基準、委員会、研修、訓練
介護報酬・加算請求控え、体制届、計画書、実績・算定根拠請求、加算算定、運営指導
事故・苦情等事故報告書、苦情対応記録、市町村への通知記録発生時対応、再発防止
会計・経営会計帳簿、領収書、決算書、経営情報報告資料会計区分、税務、経営情報報告

指定・届出に関する書類

指定権者へ提出した書類と、その根拠資料を事業所側でも管理します。

  • 指定(許可)申請書と付表
  • 指定(許可)更新申請書
  • 変更届出書
  • 廃止・休止届出書、再開届出書
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 誓約書
  • 登記事項証明書、平面図などの添付資料
  • 管理者、従業者、設備、運営規程などの変更根拠

令和6年4月から、指定申請などに使用する厚生労働大臣が定める様式が施行されています。実際の提出方法、期限、必要な添付資料は指定権者の案内を確認します。

変更しただけでは手続が完了しません

管理者、所在地、運営規程、従業者、加算の算定体制などを変更したときは、変更届や体制届が必要になる場合があります。変更内容ごとに提出期限を確認してください。

利用者・サービス提供に関する書類

利用者ごとに、契約からサービス終了までの経過が分かるように管理します。

書類確認する内容
利用申込・受付記録相談内容、申込日、対応経過
重要事項説明書運営規程の概要、職員体制、利用料、苦情窓口など
利用契約書契約内容、契約期間、解約、費用、個人情報の取扱いなど
同意書個人情報、利用料、計画、写真、緊急対応など必要な同意
被保険者情報被保険者証、負担割合証、認定有効期間など
アセスメント心身の状態、生活状況、希望、課題
サービス計画目標、具体的なサービス内容、期間、同意
サービス提供記録提供日時、内容、利用者の状態、担当者
モニタリング記録目標の達成状況、状態変化、計画見直しの必要性
連絡・調整記録家族、主治医、ケアマネジャー、他事業所との連携
利用料関係請求書、領収証、利用者負担額の内訳

必要な計画書や記録の名称、作成者、交付・同意の方法、作成時期はサービス種別によって異なります。

職員・人員配置に関する書類

  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 履歴書
  • 資格証、登録証、研修修了証の写し
  • 秘密保持に関する誓約書
  • 勤務形態一覧表
  • 勤務表、シフト表、出勤簿、タイムカード
  • 賃金台帳
  • 職員名簿、組織図、職務分担表
  • 健康診断の記録
  • 研修計画、研修資料、参加者、実施記録
  • ハラスメント防止に関する方針や相談対応記録

予定表と実績を分けて確認します

勤務形態一覧表やシフト表で人員を配置していても、実際の出勤状況や兼務時間と一致しなければ人員基準を確認できません。雇用契約、勤務予定、出勤実績、賃金台帳の整合性を確認します。

事業所運営に関する書類

代表的な運営関係書類は次のとおりです。必要性や実施回数はサービス種別などで異なります。

  • 運営規程
  • 重要事項の掲示内容
  • 業務継続計画(感染症・災害)
  • 感染症および食中毒の予防・まん延防止に関する指針
  • 虐待防止のための指針
  • 身体的拘束等の適正化に関する指針
  • 非常災害対策計画、避難訓練記録
  • 消防計画、消防設備点検関係書類
  • 衛生管理、清掃、消毒、検食などの記録
  • 委員会の議事録
  • 研修・訓練の年間計画と実施記録
  • 個人情報保護、情報セキュリティに関する規程
  • 秘密保持、文書管理、端末管理に関するルール

業務継続計画、感染症対策、虐待防止などは、書類を作るだけでなく、担当者の設置、委員会、研修、訓練、周知などが求められる場合があります。

介護報酬・加算に関する書類

  • 介護給付費請求書・介護給付費明細書の控え
  • 国保連合会からの審査結果、返戻・過誤関係書類
  • サービス提供票、別表、給付管理関係書類
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書の控え
  • 加算の算定要件を確認できる計画、記録、同意、会議録
  • 職員配置、資格、勤務実績を確認できる資料
  • 処遇改善加算の計画書、実績報告書、賃金改善の根拠資料
  • LIFEへの提出やフィードバック活用を確認できる記録

加算は「届出済み」だけでは算定できません

算定期間を通じて要件を満たし、その事実を記録で説明できる必要があります。加算ごとに「要件」「作成書類」「実施頻度」「保存場所」「担当者」を一覧化します。

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事故・苦情などに関する書類

  • 事故発生時の記録
  • 事故報告書と自治体への報告記録
  • 家族、主治医、ケアマネジャーなどへの連絡記録
  • 再発防止策と検討記録
  • 苦情受付・対応記録
  • 市町村への通知に関する記録
  • 身体的拘束等の態様、時間、利用者の状況、理由の記録
  • 虐待が疑われる事案の通報・対応記録
  • 感染症発生時の対応・報告記録

事故報告の対象、提出先、期限、様式は自治体によって異なる場合があります。事業所所在地の自治体が定める事故報告の取扱いを確認します。

会計・経営情報に関する書類

  • 現金出納帳、総勘定元帳などの会計帳簿
  • 請求書、領収書、契約書、振込記録
  • 貸借対照表、損益計算書などの決算関係書類
  • サービス事業ごとの会計区分を確認できる資料
  • 介護サービス情報公表制度の報告資料
  • 介護サービス事業者経営情報データベースへの報告資料

令和6年度から介護サービス事業者の経営情報を報告・公表する制度が始まっています。対象、報告期限、報告単位、除外要件は厚生労働省と都道府県の最新案内を確認します。

介護事業所の書類の保存期間

国の運営基準では、サービス提供に関する一定の記録を完結の日から2年間保存すると定めているサービスがあります。ただし、自治体条例により5年間としている場合や、介護報酬請求、労務、税務など別の法令・取扱いが適用される書類があります。

書類の種類保存期間の考え方確認先
サービス計画・提供記録・事故・苦情等国基準では完結の日から2年間とする規定が多いが、自治体条例で5年間などの場合があるサービス種別の運営基準、自治体条例
介護給付費請求書・明細書の控え5年間として扱われる資料がある国保連合会、保険者、自治体の案内
加算関係書類加算ごとの要件、自治体の取扱い、返還請求の確認期間を踏まえる算定基準、留意事項通知、指定権者
職員の労務関係書類労働関係法令により書類ごとに異なる厚生労働省、労働基準監督署
会計帳簿・税務関係書類法人の種類や税法、書類の種類により異なる国税庁、税理士
指定申請・変更届等指定の有効期間や過去の変更経過を説明できるよう継続管理する指定権者の手引き

「介護書類は全部2年保存」ではありません

保存期間の起算日は、作成日ではなく「完結の日」などと定められている場合があります。保存期間が重なるときは、最も長い期間を基準に社内ルールを決める方法があります。廃棄前に、自治体条例と個別法令を必ず確認してください。

書類を電子保存するときの注意点

運営基準上、書面で行うこととされている作成、保存、交付などについて、電磁的記録や電磁的方法による対応が認められる場合があります。

  • 必要なときに速やかに表示・出力できる状態にする
  • 誰がいつ作成・変更したか確認できるようにする
  • 職員ごとに利用権限を設定する
  • 改ざん、消失、漏えいを防ぐ
  • 定期的にバックアップする
  • 保存期間中に閲覧できる形式を維持する
  • 利用者の同意が必要な手続では、同意を確認できる記録を残す
  • 委託先との契約、事故時の責任分担、データ返却方法を確認する

電子管理している文書について、運営指導のためだけに紙へ印刷して二重保存する必要があるとは限りません。確認時に画面上で提示できるよう、保存場所と閲覧手順を整理します。

必要書類を管理する手順

  1. 自事業所のサービス種別と指定権者を確認する
  2. 運営基準、解釈通知、介護報酬の算定要件を確認する
  3. 自治体の条例、運営指導の自己点検表、指定申請手引きを確認する
  4. 必要書類を7つの分類で一覧化する
  5. 書類ごとに作成者、承認者、更新時期、保存期間を決める
  6. 計画・指針と委員会・研修・訓練の実施記録を結び付ける
  7. 紙と電子の正式な保存場所を決める
  8. 月次・四半期・年次で点検する
  9. 制度改正、報酬改定、自治体様式の変更時に更新する

「必要書類管理表」を1つ作ると管理しやすくなります

管理表には、書類名、根拠、対象者、作成時期、更新頻度、保存期間、保存場所、担当者、最終確認日を記載します。書類そのものを探す前に、どこに何があるか分かる状態を作ります。

介護事業所の必要書類確認表

  • □ 指定申請書、更新申請書、変更届の控えを保管している
  • □ 現在の事業所情報と行政へ届け出た内容が一致している
  • □ 運営規程と重要事項説明書の内容が一致している
  • □ 利用者ごとに契約、同意、計画、提供記録を整理している
  • □ 計画の作成日、同意日、交付日を確認できる
  • □ 資格証、雇用契約、勤務表、出勤実績を確認できる
  • □ 人員基準を予定と実績の両方で確認している
  • □ 業務継続計画、感染症対策、虐待防止の書類がある
  • □ 必要な委員会、研修、訓練の実施記録がある
  • □ 事故、苦情、身体的拘束等の記録様式を用意している
  • □ 加算ごとに算定要件と根拠書類を整理している
  • □ 請求内容とサービス提供記録が一致している
  • □ 自治体条例を確認して保存期間を決めている
  • □ 電子データの権限、バックアップ、閲覧方法を決めている
  • □ 保存期限を過ぎた書類の廃棄方法を決めている
  • □ 必要書類管理表を定期的に更新している
  • □ 運営指導の自己点検表で不足書類を確認している

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介護事業所の必要書類に関するよくある質問

Q1. 介護事業所の書類はすべて2年間保存すればよいですか?

いいえ。国の運営基準で完結の日から2年間とされる記録がありますが、自治体条例で5年間とする場合や、介護報酬請求、労務、税務など別の保存期間が適用される書類があります。

Q2. どの書類が自事業所に必要か確認する方法は?

サービス種別ごとの運営基準と解釈通知、介護報酬の算定要件、指定権者の条例・手引き・自己点検表を確認します。厚生労働省の運営指導マニュアルにあるサービス別の確認文書も参考になります。

Q3. 重要事項説明書と運営規程は同じ内容でよいですか?

同じ書類ではありません。ただし、営業時間、通常の事業の実施地域、利用料、職員体制など、両方に記載する事項に食い違いがないようにします。

Q4. 書類は電子データだけで保存できますか?

電磁的記録による保存が認められる場合があります。必要なときに表示できること、改ざんや漏えいを防げること、保存期間中に閲覧できることなどが必要です。個別の手続や自治体の取扱いも確認してください。

Q5. 運営指導のために電子書類をすべて印刷する必要がありますか?

厚生労働省の運営指導マニュアルでは、電磁的記録で管理している場合、画面上で確認し、別途印刷した書類の準備や提出を求めない考え方が示されています。実際の案内は指導を行う自治体へ確認してください。

Q6. 指針や計画を作れば運営基準を満たせますか?

作成だけでは不十分な場合があります。周知、委員会、研修、訓練、担当者の設置、定期的な見直しなど、サービス種別ごとに求められる取組と実施記録を確認します。

Q7. 加算関係の書類は何を残せばよいですか?

届出書の控えに加えて、人員配置、資格、計画、利用者同意、サービス実施、会議、評価など、算定要件を満たしたことを説明できる記録を保存します。必要書類は加算ごとに異なります。

Q8. 事故報告書は事業所内の記録だけでよいですか?

事故の内容によっては、市町村などへの報告が必要です。報告対象、期限、提出先、様式は自治体の取扱いを確認します。家族等への連絡と再発防止の検討も記録します。

Q9. 運営指導ではどの書類を見られますか?

サービスの質、人員基準、運営体制、報酬請求などを確認する文書が対象になります。厚生労働省はサービス別の「確認項目及び確認文書」を公表しています。

Q10. 書類管理で最初に行うことは?

自事業所に必要な書類を一覧化し、書類ごとに根拠、担当者、作成・更新時期、保存期間、保存場所を決めます。自治体の自己点検表と照合すると不足を見つけやすくなります。

関連する介護Wiki

  • 重要事項説明書とは
  • 運営規程とは
  • 勤務形態一覧表とは
  • 介護サービス計画書とは
  • 介護事故報告書とは
  • 業務継続計画(BCP)とは
  • 虐待防止のための指針とは
  • 身体的拘束等の適正化に関する指針とは
  • 介護事業所の運営指導とは
  • 介護事業所の文書保存期間とは

公式資料

最終更新:2026年8月

必要書類、様式、保存期間、提出方法は、サービス種別、法令改正、介護報酬改定、自治体条例によって異なります。廃棄や様式変更を行う前に、事業所所在地の指定権者が公開する最新情報を確認してください。

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