介護報酬とは、介護事業者が利用者に介護保険サービスを提供した対価として受け取る報酬です。
サービスごとに定められた基本報酬を基礎として、事業所の体制やサービス内容に応じた加算・減算を反映し、単位数と地域ごとの単価を使って計算します。
この記事の要点
- 介護報酬は「基本報酬+加算-減算」で構成される
- 金額は「合計単位数×1単位の単価」で計算する
- 原則として1~3割を利用者が負担し、残りを介護保険から受け取る
- 介護報酬はサービスの種類、要介護度、利用時間、地域などで変わる
- 令和8年度は処遇改善加算などを対象とした期中改定が行われている
目次
- 介護報酬とは
- 基本報酬・加算・減算の関係
- 介護報酬が支払われる仕組み
- 単位と地域区分
- 介護報酬の計算方法
- 介護報酬は誰が決めるのか
- 介護報酬改定とは
- 令和8年度介護報酬改定の注意点
- 事業所が確認すべき項目
- よくある質問
介護報酬とは
介護報酬とは、訪問介護、通所介護、特別養護老人ホームなどの介護保険サービスを提供した事業者に支払われる対価です。
一般の商品やサービスとは異なり、介護事業者が自由に価格を決めることはできません。サービスごとの報酬は、国が定める基準や単位数に基づいて計算します。
介護報酬の金額は、主に次の条件によって変わります。
- 提供する介護サービスの種類
- 利用者の要介護度や要支援度
- サービスの提供時間や利用回数
- 事業所の人員配置や運営体制
- 算定している加算
- 適用される減算
- 事業所が所在する地域
ポイント
「介護報酬=国から支払われるお金」だけではありません。原則として、利用者が1~3割を負担し、残りが介護保険から給付されます。
基本報酬・加算・減算の関係
介護報酬は、基本的に次の3つで構成されます。
介護報酬の単位数=基本報酬+加算-減算
基本報酬
基本報酬は、介護サービスを提供した場合に算定する基本部分です。
サービスの種類、要介護度、利用時間、施設の規模などによって単位数が定められています。
加算
加算は、一定の人員配置や支援体制、サービス内容などの要件を満たした事業所に、基本報酬へ上乗せされる報酬です。
ただし、要件を満たしているだけで自動的に算定できるとは限りません。事前の届出、計画書の作成、利用者への説明、記録の保存などが必要になる場合があります。
減算
減算は、人員配置や運営体制などが定められた基準を満たしていない場合に、基本報酬などから差し引かれる仕組みです。
減算の対象であることに気づかず請求を続けると、運営指導などで返還を求められる可能性があります。
介護報酬が支払われる仕組み
介護事業者が介護報酬を受け取るまでの基本的な流れは、次のとおりです。
- 利用者へ介護保険サービスを提供する
- 提供したサービス内容と算定要件を確認する
- 介護給付費明細書などを作成する
- 原則として国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求する
- 国保連による審査が行われる
- 審査を通過した介護給付費が事業所へ支払われる
- 利用者から自己負担分を受け取る
請求内容に誤りや不一致がある場合は、返戻や査定となることがあります。サービス提供記録、実績、請求データを一致させることが重要です。
介護報酬の「単位」と「地域区分」
介護報酬は円ではなく単位で定められる
介護報酬は、原則として「円」ではなく「単位」で定められています。
算定した合計単位数に、事業所の所在地やサービスの種類に応じた1単位の単価を掛けて、金額を計算します。
介護報酬額=合計単位数×1単位の単価
地域によって1単位の単価が異なる
介護職員の賃金や物価には地域差があります。その差を介護報酬へ反映するために設けられているのが「地域区分」です。
地域区分は、1級地から7級地までと「その他」に分けられています。また、同じ地域でもサービスごとの人件費割合によって、1単位の単価が異なる場合があります。
そのため、同じ単位数のサービスを提供しても、事業所の所在地やサービスの種類によって、実際の報酬額が変わります。
介護報酬の計算方法
例として、基本報酬と加算の合計が1,000単位、減算が50単位、1単位の単価が10.50円の場合を考えます。
計算例
- 1,000単位-50単位=950単位
- 950単位×10.50円=9,975円
この例における介護報酬額は9,975円です。
利用者の負担割合が1割の場合、単純化した目安は次のようになります。
- 利用者負担:約998円
- 介護保険給付:約8,977円
注意
実際の請求では、端数処理、支給限度額、保険給付の対象外となる費用、公費負担なども関係します。上記は仕組みを理解するための簡易的な計算例です。
介護報酬は誰が決めるのか
介護報酬は、介護保険法などに基づき、厚生労働大臣が定めます。
改定にあたっては、社会保障審議会の介護給付費分科会などで、介護事業者の経営状況、職員の賃金、人材確保、物価、サービスの質、保険料への影響などが検討されます。
最終的な単位数や算定要件は、告示、解釈通知、留意事項通知、Q&Aなどで示されます。
実務上の注意
概要資料だけで算定可否を判断せず、告示、通知、Q&A、自治体からの案内まで確認する必要があります。
介護報酬改定とは
介護報酬改定とは、介護サービスの基本報酬、加算、減算、算定要件などを見直すことです。
介護報酬は原則として3年に一度見直されます。ただし、社会情勢や制度上の必要性に応じて、通常の改定時期以外に見直される場合もあります。
改定時には、単位数の変更だけでなく、次のような変更が行われます。
- 新しい加算や減算の創設
- 既存加算の統合・廃止
- 算定要件の変更
- 人員・設備・運営基準の見直し
- 届出書や計画書の変更
- 経過措置の終了
令和8年度介護報酬改定の注意点
令和8年度介護報酬改定は、令和9年度の通常改定を待たずに実施された期中改定です。
主な内容は、介護職員等処遇改善加算の拡充と、介護保険施設などにおける食費の基準費用額の見直しです。
処遇改善加算については、対象となる職種の拡大、生産性向上や協働化に取り組む事業者を評価する区分の新設、従来は対象外だった一部サービスへの加算創設などが行われています。
適用時期は改定内容によって異なるため、事業所は自らのサービス種別に関係する告示・通知・届出期限を個別に確認してください。
事業所が確認すべき実務項目
- □ 自事業所のサービスコードと基本報酬を確認した
- □ 算定中の加算要件を確認した
- □ 該当する減算がないか確認した
- □ 人員配置基準を毎月確認している
- □ 加算の届出期限を確認した
- □ 利用者への説明と同意を行っている
- □ 算定根拠となる記録を保存している
- □ サービス提供記録と請求内容が一致している
- □ 最新の告示・通知・Q&Aを確認した
- □ 報酬改定後の経過措置と終了日を確認した
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介護報酬に関するよくある質問
Q1. 介護報酬と利用料金は同じですか?
同じではありません。介護報酬は介護保険サービス全体の対価です。利用者は原則として、そのうち1~3割を自己負担します。食費、居住費、日常生活費など、介護保険給付の対象外となる費用が別に発生する場合もあります。
Q2. 介護事業者が自由に料金を決められますか?
介護保険給付の対象となるサービスの報酬は、国が定める基準に基づいて算定します。保険給付外のサービスについては、内容や契約に応じて事業者が料金を設定できる場合があります。
Q3. 加算は要件を満たせば自動的に算定できますか?
自動的に算定できるとは限りません。加算によっては、自治体への事前届出、計画書の作成、利用者への説明、職員体制の整備、実績記録などが必要です。
Q4. 加算の届出を忘れた場合、さかのぼって請求できますか?
原則として、届出日や自治体が定める期限に応じて算定開始日が決まります。自由にさかのぼって請求できるものではありません。具体的な取扱いは、指定権者へ確認してください。
Q5. 介護報酬を間違えて請求した場合はどうなりますか?
請求前であれば内容を修正します。支払い確定後に誤りが判明した場合は、過誤申立てなどの手続きが必要になることがあります。手続きは自治体や国保連へ確認してください。
Q6. 介護報酬は何年ごとに改定されますか?
原則として3年に一度改定されます。ただし、令和8年度改定のように、通常の改定時期以外に期中改定が行われる場合もあります。
関連する介護Wiki
- 介護報酬の加算とは
- 介護報酬の減算とは
- 介護職員等処遇改善加算とは
- 介護事業所の人員配置基準とは
- 介護事業所の指定基準とは
- 運営指導とは
公式資料
最終更新:2026年8月
介護報酬の算定や届出については、厚生労働省、指定権者、国保連が公表する最新情報を必ず確認してください。