処遇改善加算は年度途中で変更できる?新規算定・区分変更・支給方法を解説【令和8年度】

介護パートナー編集部作成|読了時間:約15分

「処遇改善加算を年度の途中で変えたい」「今から新しく算定できるか」——年度途中には、新規算定、加算区分の変更、支給方法の見直し、事業所の追加、算定の終了など、さまざまな場面が発生します。処遇改善加算とは、介護職員をはじめとする職員の賃金改善を後押しする加算です。

この記事は、年度途中に処遇改善加算について何かを変えたい介護事業所が、自分のケースで必要な手続きを見分けるための入口です。まず結論とケース判定表を示し、そのうえで各ケースの要点と、詳しく解説した専門記事への案内をまとめます。介護保険サービスを対象とし、障害福祉サービスは制度・様式が異なるため扱いません。制度・期限・書類は令和8年度の一次資料(令和8年3月13日付け老発0313第6号)を基準にしています。

3秒で結論

  • 処遇改善加算は、年度途中でも新規算定や変更が可能です。
  • 必要な手続きは、変更する内容によって異なります。
  • 新規算定や区分変更では、変更届出書・計画書・体制届を確認します。
  • 計画内容の変更では、変更届出書が必要かを確認します。
  • 算定を終了する場合は、体制届などの手続きを確認します。
  • 提出期限と提出方法は、指定権者へ事前に確認します。

最初に確認|あなたはどのケース?

まず、自分の状況に近い行を探してください。必要な手続きの当たりをつけてから、各章と関連記事で詳しく確認できます。

状況主に確認する手続き関連記事
これまで未算定で、年度途中から取得する変更届出書・処遇改善計画書・介護給付費算定に係る体制等に関する届出書・体制等状況一覧表体制届の記事
算定中の加算区分を変更する計画書の変更・変更届出書・体制届(必要になる場合がある)変更届・体制届の記事
賃金改善の支給方法を変更する計画書との整合性・規程・変更届出書の要否変更届の記事
計画書の作成単位が変わる、または一括申請する事業所が増減する変更届出書の要否(指定権者へ確認)変更届の記事
新しい事業所を追加する計画書の変更・変更届出書・体制届変更届・体制届の記事
新規開設した事業所で算定する変更届出書・計画書・体制届新規事業所の記事
加算を終了・廃止する体制届など指定権者所定の手続き体制届の記事

断定できない部分は「必要になる場合がある」「指定権者へ確認」としています。ここから、各ケースの要点を見ていきます。

処遇改善加算は年度途中でも新規算定・変更できる

年度途中だから変更できない、ということはありません。要件を満たし、必要な手続きを行えば、年度の途中でも新規算定や変更ができます。

ただし、変更する内容によって、必要な届出と提出期限は異なります。ここで大切なのは、「変更できるか」と「変更届出書が必要か」は別の問題だということです。変更できる場合でも、必ずしも変更届出書を出すとは限らず、逆に体制届など別の手続きが必要になることもあります。まずは自分のケースがどれかを見分けることが近道です。

年度途中から新たに処遇改善加算を算定する場合

対象は、すでに運営しているが、現在は処遇改善加算を算定していない既存事業所です。主な準備は次のとおりです。

  • 取得区分の決定
  • 算定要件の確認と整備
  • 賃金改善方法の決定
  • 処遇改善計画書の作成
  • 変更届出書(別紙様式4)の作成
  • 体制届・体制等状況一覧表の作成
  • 指定権者への提出
  • 職員への周知
  • 算定開始後の記録管理
  • 実績報告

処遇改善計画書は、令和8年8月以降に新たに算定を始める場合、原則としてその年度に初めて算定する月の前々月末までが提出期限です。たとえば令和8年10月から算定するなら、計画書の提出期限は令和8年8月31日となる考え方です。期限の詳細は処遇改善加算の計画書提出期限で確認できます。

体制届の期限は、計画書とは別に確認してください。体制届の提出期限は、サービス種別(居宅系・施設系)や指定権者の運用によって異なり、計画書の前々月末とは異なります。計画書と体制届を同じ期限と考えないようにしましょう。体制届の期限・書き方は処遇改善加算の体制届と提出期限で解説しています。

年度途中で加算区分を変更する場合

加算区分の変更には、上位区分へ変更するケースと、下位区分へ変更するケースがあります。

上位区分へ変更する場合は、変更後の区分に必要な要件を満たしてから算定する必要があります。要件を満たす前に上位区分で算定することはできません。必要な要件は処遇改善加算の算定要件やキャリアパス要件で確認できます。

下位区分へ変更する場合は、要件を満たせなくなった理由や変更の時期を整理し、必要な届出を指定権者へ確認します。

いずれの場合も、計画書の変更、変更届出書、体制届、体制等状況一覧表の要否を確認します。どの書類が必要かは変更の内容によって異なるため、詳しい手続きは処遇改善加算の変更届が必要なケースと体制届の記事で確認してください。

年度途中で賃金改善の支給方法を変更する場合

支給方法の変更には、次のような例があります。

  • 基本給中心から手当中心へ変更
  • 手当中心から基本給中心へ変更
  • 毎月の手当と賞与の配分を変更
  • 職員ごとの配分方法を変更
  • 支給時期を変更

支給方法は、年度途中でも自由に変更できるとは限りません。変更する際は、次の点を確認してください。

  • 処遇改善計画書に記載した賃金改善方法との整合性
  • 月額賃金改善要件を満たすか
  • 賃金規程・給与規程・就業規則との整合性
  • 職員への説明と周知
  • 労働条件の不利益変更に当たらないか
  • 変更届出書が必要な事由に該当するか
  • 実績報告で説明できる記録が残っているか

労働条件の不利益変更に当たるかどうかなどの法的な判断は、この記事だけで断定できません。必要に応じて、社会保険労務士などの専門家へ確認してください。

なお、賃金水準そのものを引き下げたうえで賃金改善を行う場合は、変更届出書ではなく特別な事情に係る届出書が関係します。就業規則を職員の処遇に関する内容で改訂した場合は変更届出書の対象ですが、その改訂のみに当たる場合は、実績報告書を提出する際に併せて届け出る取扱いです。就業規則を改訂したら直ちに単独で提出する、とは限りません。

年度途中で事業所を追加する場合

法人が新しい介護事業所を追加するケースです。法人一括で計画書を提出している場合でも、新しい事業所が自動的に算定対象になるとは限りません。

計画書への追加、変更届出書、事業所ごとの体制届などの要否を確認する必要があります。複数事業所を一括して計画書を作成できますが、体制届は事業所ごとに提出し、提出先が複数に分かれる場合があります。なお、新規に開設した事業所で開設初月から算定したい場合は、新規事業所で処遇改善加算を初月から算定する方法で詳しく解説しています。

年度途中で加算を終了・廃止する場合

加算の算定をやめる場合も、何もせず請求だけを止めればよいとは限りません。主に次を確認してください。

  • 体制届などの終了手続き
  • 算定終了月
  • 算定済み期間の賃金改善が計画どおり行われているか
  • 職員への説明
  • 計画書と実績の管理
  • 実績報告書の提出
  • 未配分額の有無
  • 返還のリスク

算定要件を満たさない場合などには、算定額が算定要件を満たさないものとして返還等の対象となる可能性があります。ただし、直ちに必ず返還になるわけではありません。返還につながる典型例は処遇改善加算の返還になるケースで整理しています。

未配分額が残っている場合の処理を、独自の判断で進めないでください。処理の方法は事案によって異なるため、指定権者や専門家へ確認してください。

年度途中の手続きで使用する主な書類

年度途中の手続きで登場する主な書類を整理します。すべての変更で全書類を提出するわけではありません。ケースに応じて必要なものだけを確認します。

書類名主な役割使用する主な場面提出時期注意点
処遇改善計画書賃金改善計画・加算区分・要件対応を届け出る算定する年度ごと/新規算定・区分変更その年度に初めて算定する月の前々月末が原則継続でも毎年度必要
変更届出書(別紙様式4)計画書の内容の変更を届け出る通知で定める変更事由に該当したとき変更内容・サービス種別による通知で定められた6つの変更事由を確認
体制届加算の算定体制・区分を届け出る新規算定・区分変更など原則、居宅系は算定開始月の前月15日、施設系は当月1日(サービス種別・指定権者により取扱いが異なる場合あり)計画書と期限が異なる
体制等状況一覧表算定する加算区分などを一覧で申告体制届と一体で提出体制届に準じる対象月・サービス区分で様式が異なる場合あり
特別な事情に係る届出書(別紙様式5)賃金水準を引き下げて賃金改善する事情を届け出る賃金水準を引き下げる場合該当する場合通常の変更届出書とは別
実績報告書賃金改善の実績を報告する年度後最終の加算支払月の翌々月末根拠資料と2年間保存

年度途中に変更するときの手続きの流れ

どのケースでも、おおまかな進め方は共通です。次の流れで確認すると、必要な書類や期限の抜け漏れを防ぎやすくなります。

1

変更したい内容を整理する

2

現在の加算区分と計画内容を確認する

3

変更後の算定要件を確認する

4

必要な書類を判定する

5

指定権者へ期限・提出方法を確認する

6

規程や賃金改善方法を整備する

7

期限までに提出する

8

職員へ周知する

9

変更後の運用と記録保存を開始する

10

実績報告へ反映する

年度途中の変更でよくある間違い

  • どの変更でも変更届出書だけを出せばよいと思っている
  • 計画書と体制届の提出期限を同じだと思っている
  • 提出後に過去の月へ遡って算定できると思っている
  • 新しい事業所が自動的に算定対象になると思っている
  • 加算区分を変えても体制届は不要だと思っている
  • 支給方法を変更しても規程や職員への説明は不要だと思っている
  • 加算を廃止すれば実績報告も不要だと思っている
  • 指定権者の提出方法や様式を確認していない
  • 制度上の変更と、社内の賃金制度の変更を混同している

年度途中の変更前チェックリスト

  • 変更したい内容を具体的に整理した
  • 現在の加算区分を確認した
  • 変更後の算定要件を確認した
  • 処遇改善計画書の記載内容を確認した
  • 変更届出書が必要か確認した
  • 体制届が必要か確認した
  • 体制等状況一覧表が必要か確認した
  • 提出期限を確認した
  • 提出先と提出方法を確認した
  • 賃金規程や就業規則との整合性を確認した
  • 職員への説明方法を決めた
  • 変更後の記録保存方法を決めた
  • 実績報告への反映方法を確認した

よくある質問

処遇改善加算は年度途中からでも取得できますか

はい。要件を満たし、必要な届出を期限内に行えば、年度途中でも新たに算定できます。新規算定では変更届出書・計画書・体制届などを提出します。計画書は原則としてその年度に初めて算定する月の前々月末まで、体制届はサービス種別・指定権者により別の期限です。最短で何月から算定できますか

計画書の提出期限(原則、算定開始月の前々月末)や体制届の期限に間に合う範囲で決まります。たとえば計画書を8月31日までに提出できれば10月算定が視野に入ります。具体的な可否と期限は指定権者へ確認してください。年度途中で加算区分を変更できますか

できます。上位区分は要件を満たしてから算定します。区分変更では計画書の変更、変更届出書、体制届、体制等状況一覧表の要否を確認します。処遇改善加算ⅠからⅡへ変更できますか

それぞれの算定要件を満たし、必要な変更手続きを行えば変更できます。区分変更に当たるため、計画書の変更や変更届出書、体制届などの要否を確認します。必要書類は変更内容と指定権者の案内によります。処遇改善加算ⅡからⅠへ変更できますか

それぞれの算定要件を満たし、必要な変更手続きを行えば変更できます。特に上位区分に当たるため、変更後の区分に必要な要件を満たしてから算定します。手続きはⅠからⅡへの変更と同様に、書類の要否を確認します。年度途中で支給方法を変更できますか

変更できる場合がありますが、自由に変更できるとは限りません。計画書との整合性、月額賃金改善要件、規程、職員への周知、不利益変更に当たらないかなどを確認する必要があります。手当から基本給へ変更できますか

賃金水準を下げない範囲であれば見直せる場合があります。安定的な処遇改善の観点からは基本給による改善が望ましいとされています。規程や職員への周知、実績報告で説明できる記録の整備を確認してください。賞与の割合を途中で変更できますか

計画書に記載した賃金改善方法や月額賃金改善要件との整合性を確認したうえで見直せる場合があります。賃金水準を引き下げる場合は、別途の届出が関係することがあります。新しい事業所を年度途中で追加できますか

できます。法人一括で計画書を作成していても、新しい事業所が自動的に算定対象になるとは限りません。計画書への追加、変更届出書、事業所ごとの体制届などの要否を確認します。加算の算定を年度途中でやめられますか

やめられますが、請求を止めるだけで完了とは限りません。体制届などの終了手続き、算定済み期間の賃金改善、実績報告書の提出、未配分額の有無などを確認してください。加算を廃止した場合も実績報告書は必要ですか

その年度に加算を算定していた場合は、実績報告書が必要です。廃止したから不要になるわけではありません。詳細は指定権者へ確認してください。どの変更でも変更届出書が必要ですか

いいえ。変更届出書が必要な事由は、厚生労働省の通知で6つに限られています。事由に当たらない場合は、体制届など別の手続きだけが必要なこともあります。計画書と体制届の期限は同じですか

同じではありません。計画書は原則として算定開始月の前々月末までです。体制届は、原則として居宅系サービスは算定開始月の前月15日、施設系サービスは算定開始月の1日までですが、サービス種別や指定権者によって取扱いが異なる場合があるため、必ず提出先の案内を確認してください。提出期限を過ぎた場合は遡って算定できますか

過去の月へ遡って算定できるとは限りません。期限を過ぎた場合は、まず指定権者へ連絡し、算定開始月と必要な対応を確認してください。自己判断で遡って請求しないことが重要です。電子申請は利用できますか

電子申請の可否は指定権者によって異なります。専用フォームや電子申請システム、郵送など提出方法が分かれるため、管轄の指定権者の案内を確認してください。

まとめ

  • 処遇改善加算は、年度途中でも新規算定や変更ができます。
  • 必要な手続きは変更内容で異なり、「変更できるか」と「変更届出書が必要か」は別問題です。
  • 新規算定・区分変更では変更届出書・計画書・体制届を、計画内容の変更では変更届出書の要否を確認します。
  • 計画書と体制届の期限は異なります。過去の月へ遡っての算定はできるとは限りません。
  • 提出期限・提出方法・提出先は、最後に必ず指定権者の令和8年度案内で確認します。

自分のケースで必要な手続きを整理したい方へ

この記事の読者には、次のような確認ニーズがあります。

  • 年度途中から算定できるか確認したい
  • 区分変更に必要な書類を確認したい
  • 支給方法の変更に問題がないか確認したい
  • 新しい事業所を計画書へ追加したい
  • 加算を終了する際の手続きを確認したい

介護パートナーでは、確認事項の整理に役立つ無料資料をLINEでお届けしています。状況の整理や、専門家への相談を検討する際の入口としてご活用ください。

🎁 LINE登録特典

📘 処遇改善加算 完全実務ガイド
Vol.1(全24ページ)

処遇改善加算で悩む介護事業者向けに、
無料プレゼント中!

この1冊で学べる内容

✅ 計画書の作成方法
✅ 実績報告書の書き方
✅ 加算区分の選び方
✅ 提出期限・監査対策
✅ 現場で使えるチェックリスト

👇 下の画像をクリックして無料で受け取る 👇

関連する介護パートナーの記事

参考にした公式情報

更新履歴

  • 2026年8月:新規公開(令和8年3月13日付け老発0313第6号/令和8年度分に基づき作成)

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP