介護保険制度とは?仕組み・対象者・保険料・サービス利用の流れをわかりやすく解説

介護保険制度は、介護が必要になった人を家族だけで支えるのではなく、社会全体で支えるための公的な保険制度です。

40歳以上の人が保険料を負担し、要介護認定や要支援認定を受けた人などが、訪問介護、通所介護、福祉用具、施設サービスといった介護保険サービスを利用できます。

この記事では、介護保険制度の基本的な仕組み、対象者、財源、保険料、要介護認定、サービス利用の流れ、利用者負担、令和8年の法改正までわかりやすく解説します。

この記事の要点

  • 介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える公的保険制度
  • 保険者は、原則として市区町村と特別区
  • 加入者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの第2号被保険者
  • サービス利用には、原則として要介護認定または要支援認定が必要
  • 利用者負担は、原則として介護サービス費用の1割から3割
  • 介護保険の財源は、公費50%と保険料50%が基本
  • 令和8年介護保険法改正は、原則として令和9年4月1日から順次施行

目次

  1. 介護保険制度とは
  2. 介護保険制度の目的
  3. 介護保険制度の仕組み
  4. 介護保険の対象者
  5. 介護保険の保険者
  6. 介護保険の財源
  7. 介護保険料の納め方
  8. 要介護認定と要支援認定
  9. 介護サービスを利用するまでの流れ
  10. 利用できる介護保険サービス
  11. 利用者負担
  12. 区分支給限度基準額
  13. 介護事業者との関係
  14. 令和8年介護保険法改正
  15. 介護事業者の確認表
  16. よくある質問

介護保険制度とは

介護保険制度とは、加齢などによって介護や支援が必要になった人に対し、必要な介護サービスを提供するための社会保険制度です。

介護保険法は1997年に成立し、介護保険制度は2000年4月に始まりました。

制度が始まる前は、家族が介護を担うことが多く、行政がサービスの利用先を決める仕組みが中心でした。

高齢化、介護期間の長期化、核家族化、介護する家族の高齢化などを背景として、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みが作られました。

介護保険制度の基本

40歳以上の人が保険料を負担し、国、都道府県、市区町村も公費を負担します。その財源を使い、要介護認定などを受けた人に介護保険サービスを提供します。

介護保険制度の目的

介護保険制度には、主に次の考え方があります。

高齢者の自立を支援する

介護保険サービスは、利用者ができないことをすべて代わりに行うためだけの制度ではありません。

利用者が持っている能力を生かし、できる限り自立した日常生活を送れるように支援することが基本です。

利用者がサービスを選択する

利用者は、ケアマネジャーなどの支援を受けながら、利用するサービスや介護事業者を選択できます。

介護事業者には、利用者が適切に判断できるよう、サービス内容、料金、職員体制、運営方針などを説明することが求められます。

介護を社会全体で支える

介護保険制度は、本人や家族だけで介護を抱えるのではなく、保険料と税金を使って社会全体で支える仕組みです。

介護保険制度の仕組み

介護保険制度には、主に次の関係者が参加します。

関係者主な役割
被保険者介護保険に加入して保険料を負担し、要件を満たした場合にサービスを利用する
保険者介護保険を運営し、要介護認定、保険料の徴収、保険給付などを行う
介護事業者指定を受け、利用者へ介護保険サービスを提供する
国・都道府県制度設計、公費負担、市区町村への支援、介護事業者の指定・指導などを行う
国民健康保険団体連合会介護給付費の請求審査や介護事業者への支払いなどを行う

利用者が介護サービスを利用した場合、利用者は原則として費用の1割から3割を負担します。

残りの7割から9割は、介護事業者が国民健康保険団体連合会などへ請求し、介護給付費として支払われます。

介護保険の対象者

介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分かれます。

区分対象者サービスを利用できる条件
第1号被保険者65歳以上の人原因を問わず、要介護または要支援状態と認定された場合
第2号被保険者40歳から64歳までの医療保険加入者特定疾病が原因で要介護または要支援状態と認定された場合

第1号被保険者

65歳以上の人は、第1号被保険者です。

病気、認知症、転倒など、介護が必要になった原因を問わず、要介護認定または要支援認定を受けることで介護保険サービスを利用できます。

第2号被保険者

40歳から64歳までの医療保険加入者は、第2号被保険者です。

第2号被保険者が介護保険サービスを利用できるのは、介護保険法で定められた特定疾病が原因で、要介護または要支援状態になった場合です。

特定疾病には、次のような病気があります。

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

40歳から64歳までの人は、原因の確認が必要です

介護が必要な状態であっても、その原因が特定疾病に該当しなければ、第2号被保険者として介護保険サービスを利用できない場合があります。

介護保険の保険者

介護保険の保険者は、原則として市区町村と特別区です。

保険者は、主に次の業務を行います。

  • 被保険者の資格管理
  • 介護保険料の決定と徴収
  • 要介護認定と要支援認定
  • 介護保険被保険者証の交付
  • 保険給付
  • 地域支援事業の実施
  • 介護保険事業計画の策定
  • 地域密着型サービス事業者などの指定・指導

一部の地域では、複数の市町村が広域連合などを設置し、共同で介護保険を運営している場合があります。

介護保険の財源

介護保険の給付費は、原則として公費50%と保険料50%で支えられています。

財源基本的な負担割合
第1号被保険者の保険料23%
第2号被保険者の保険料27%
25%
都道府県12.5%
市区町村12.5%

施設サービスなどでは、国と都道府県の負担割合が一部異なります。また、国の負担には、市区町村間の財政力などを調整する調整交付金が含まれます。

負担割合は3年ごとに見直されます

第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担割合は、人口構成などを基に、介護保険事業計画の期間に合わせて見直されます。23%と27%は、第9期介護保険事業計画期間である令和6年度から令和8年度の割合です。

介護保険料の納め方

第1号被保険者の保険料

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、市区町村ごとに決められます。

市区町村が必要と見込む介護サービス費用や、本人の所得、世帯の課税状況などによって保険料が異なります。

一定額以上の年金を受給している場合は、原則として年金から差し引く特別徴収となります。それ以外の場合は、納付書や口座振替などによる普通徴収となります。

第2号被保険者の保険料

40歳から64歳までの第2号被保険者は、加入している健康保険や国民健康保険の保険料と合わせて介護保険料を負担します。

会社の健康保険に加入している場合は、原則として事業主と本人が介護保険料を分担します。

国民健康保険に加入している場合は、世帯の所得や加入者数などを基に、市区町村が保険料を計算します。

要介護認定と要支援認定

介護保険サービスを利用するためには、原則として市区町村へ申請し、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。

認定結果は、次の区分に分かれます。

認定区分基本的な状態
非該当要支援・要介護の基準には該当しない
要支援1・2日常生活上の一部に支援が必要で、介護予防が重要な状態
要介護1~5日常生活上の介護が必要な状態

認定は、認定調査、主治医意見書、コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定などを経て決定されます。

要介護度は、病名や身体機能だけで決まるものではありません。介護に必要とされる時間や、認知症による行動などを含めて判定されます。

介護サービスを利用するまでの流れ

  1. 市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談する
  2. 要介護認定または要支援認定を申請する
  3. 認定調査を受ける
  4. 市区町村が主治医意見書を取得する
  5. 一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われる
  6. 認定結果の通知を受ける
  7. ケアプランまたは介護予防ケアプランを作成する
  8. 介護事業者と契約する
  9. 介護保険サービスを利用する

要介護1から5の場合

居宅サービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへケアプランの作成を依頼できます。

施設へ入所する場合は、希望する施設へ直接相談・申込みを行い、施設のケアマネジャーが施設サービス計画を作成します。

要支援1・2の場合

地域包括支援センターや、委託を受けた居宅介護支援事業者などが介護予防ケアプランを作成します。

認定がなくても利用できる事業があります

市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業などには、要介護認定や要支援認定を受けていない人が利用できるものもあります。対象者やサービス内容は市区町村によって異なります。

利用できる介護保険サービス

居宅サービス

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 住宅改修

地域密着型サービス

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

施設サービス

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

介護予防サービス

要支援1・2の人を対象として、状態の維持や悪化防止を目的とする介護予防サービスがあります。

サービスの種類によって、都道府県、市区町村などの指定権者から指定を受ける必要があります。

指定基準については、次の記事で詳しく解説しています。

介護事業所の指定基準とは?人員・設備・運営基準と違反時の対応を解説

介護保険サービスの利用者負担

介護保険サービスを利用した場合、利用者は原則としてサービス費用の1割を負担します。

65歳以上の第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人は2割または3割負担となります。

第2号被保険者は、所得にかかわらず原則1割負担です。

介護保険の給付対象外となる主な費用には、次のようなものがあります。

  • 施設サービスや短期入所における食費
  • 施設サービスや短期入所における居住費・滞在費
  • 通所サービスにおける食費
  • 日常生活費
  • 通常の事業実施地域を超える場合の交通費
  • 利用者の希望による介護保険外サービスの費用

介護保険外の費用は、事前説明が必要です

介護事業者が利用者から介護保険給付以外の費用を受け取る場合は、費用の内容と金額を説明し、同意を得る必要があります。徴収できる費用は、サービスごとの基準や通知を確認してください。

高額介護サービス費

1か月の利用者負担額が所得区分に応じた上限額を超えた場合は、超過分が高額介護サービス費として支給されることがあります。

食費、居住費、日常生活費、福祉用具購入費、住宅改修費などは、原則として高額介護サービス費の対象に含まれません。

区分支給限度基準額

居宅サービスなどでは、要介護度に応じて、介護保険から給付を受けられる1か月当たりの上限が設定されています。

この上限を区分支給限度基準額といいます。

限度額を超えてサービスを利用した場合、超えた部分は原則として全額自己負担になります。

ただし、居宅療養管理指導など、区分支給限度基準額の対象外となるサービスや加算もあります。

支給限度額と事業所の利用限度額は別のものです

区分支給限度基準額は、利用者が介護保険給付を受けられる範囲を管理する仕組みです。事業所の利用定員や人員配置基準とは異なります。

介護保険制度と介護事業者の関係

介護事業者が介護保険サービスを提供し、介護報酬を請求するためには、原則としてサービスごとの指定を受けなければなりません。

指定を受けた介護事業者には、主に次の対応が必要です。

  • 人員基準、設備基準、運営基準を継続して満たす
  • 利用者へ重要事項を説明し、契約を締結する
  • ケアプランや個別計画に基づいてサービスを提供する
  • サービス提供記録を作成・保存する
  • 介護報酬の算定要件を確認する
  • 利用者負担を正しく受け取る
  • 事故、苦情、虐待、感染症などへ適切に対応する
  • 変更届、指定更新、加算届などを期限までに提出する
  • 運営指導や監査に対応する

介護報酬については、次の記事で詳しく解説しています。

介護報酬とは?仕組み・単位数・地域区分・請求の流れをわかりやすく解説

運営指導については、次の記事で詳しく解説しています。

運営指導とは?監査との違い・流れ・確認書類・指摘後の対応を解説

令和8年介護保険法改正

令和8年6月25日に「社会福祉法等の一部を改正する法律」が公布され、介護保険法の一部も改正されました。

改正法は、一部を除いて令和9年4月1日から施行されます。公布後に政令で施行日が決められる項目もあります。

介護保険法に関係する主な改正内容は、次のとおりです。

  • 介護サービスの質と介護事業者の安定した経営基盤を両立する取組の推進
  • マイナンバーカードなどを利用した電子資格確認の導入
  • 要介護・要支援認定申請を代行できる事業者や施設の拡大
  • 人口減少地域における介護サービス提供体制の特例
  • 夜間対応型訪問介護の廃止
  • 介護情報基盤の整備に関する対応
  • 介護サービス事業者の経営情報などを活用した支援の強化

令和8年改正のすべてが直ちに適用されるわけではありません

改正項目によって施行日が異なります。令和9年4月1日施行の項目だけでなく、公布日から一定期間内に政令で施行日を定める項目もあります。事業所で対応する際は、今後発出される政令、省令、通知、Q&Aを確認してください。

介護事業者の確認表

  • □ 自事業所のサービスの正式名称を確認した
  • □ 指定権者と保険者の違いを確認した
  • □ 利用者の被保険者資格を確認している
  • □ 要介護度と認定有効期間を確認している
  • □ 負担割合証の適用期間と負担割合を確認している
  • □ ケアプランと個別計画の内容を確認している
  • □ 区分支給限度基準額への影響を確認している
  • □ 介護保険給付の対象と対象外費用を区別している
  • □ 介護報酬の単位数と算定要件を確認している
  • □ 加算・減算の要件を確認している
  • □ 利用者負担額を正しく計算している
  • □ 国保連請求と利用者請求の内容が一致している
  • □ 制度改正や介護保険最新情報を確認している
  • □ 自治体の条例、通知、手引きを確認している
  • □ 令和8年介護保険法改正の施行時期を確認している

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介護保険制度に関するよくある質問

Q1. 介護保険制度とは何ですか?

介護が必要になった人を社会全体で支える公的な保険制度です。40歳以上の人が保険料を負担し、要件を満たした人が介護保険サービスを利用できます。

Q2. 介護保険には何歳から加入しますか?

原則として、医療保険に加入している40歳から介護保険の第2号被保険者になります。65歳になると第1号被保険者になります。

Q3. 介護保険サービスは何歳から利用できますか?

65歳以上の人は、原因を問わず要介護・要支援認定を受けた場合に利用できます。40歳から64歳までの人は、特定疾病が原因で認定を受けた場合に利用できます。

Q4. 介護保険の保険者は誰ですか?

原則として、市区町村と特別区です。一部の地域では、複数の市町村による広域連合などが運営しています。

Q5. 利用者負担は何割ですか?

原則1割です。65歳以上の第1号被保険者のうち、一定以上の所得がある人は2割または3割になります。第2号被保険者は原則1割です。

Q6. 要介護認定がなくてもサービスを利用できますか?

介護保険給付としてサービスを利用するには、原則として認定が必要です。ただし、市区町村の総合事業などには、認定を受けていない人が利用できるものもあります。

Q7. 介護保険料は全国一律ですか?

全国一律ではありません。65歳以上の第1号被保険者の保険料は、市区町村の介護サービス費用や本人の所得などによって異なります。

Q8. 介護保険サービスの費用はすべて1割から3割負担ですか?

介護保険給付の対象となる費用は原則1割から3割負担です。ただし、食費、居住費、日常生活費、支給限度額を超えた費用などは、全額自己負担になる場合があります。

Q9. 介護保険制度は何年ごとに見直されますか?

市区町村の介護保険事業計画と介護報酬は、原則として3年ごとに見直されます。法律改正や年度途中の報酬改定が行われる場合もあります。

Q10. 令和8年介護保険法改正はいつから始まりますか?

改正法は、一部を除いて令和9年4月1日から施行されます。項目によって施行日が異なるため、政令、省令、通知などの最新情報を確認する必要があります。

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公式資料

最終更新:2026年8月

介護保険料、利用者負担、高額介護サービス費、総合事業などの具体的な取扱いは、市区町村や所得状況などによって異なります。実務では、厚生労働省、市区町村、指定権者が公開する最新情報を確認してください。

令和8年介護保険法改正は、項目ごとに施行日が異なります。今後公布される政令、省令、告示、通知、Q&Aも併せて確認してください。

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