処遇改善加算 令和8年度の変更点をわかりやすく解説

更新日:2026年9月
この記事は、厚生労働省が2026年3月13日に示した令和8年度通知・Q&A等に基づいています。申請方法や受付期限は、指定権者の最新案内も確認してください。

令和8年度の処遇改善加算は、6月から対象職種・対象サービス・加算区分が拡充されました。重要なのは制度改正の名称を覚えることではなく、自事業所の区分、賃金改善、届出をどう直すかを判断することです。

3秒で結論
  • 令和8年4・5月は従来区分、6月以降はⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの区分で扱います。
  • 6月以降、加算の対象は介護職員から介護従事者へ広がり、事業所内で柔軟に配分できます。
  • 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援等にも加算が新設されました。
  • Ⅰロ・Ⅱロは、Ⅰイ・Ⅱイの要件に令和8年度特例要件を加えた上乗せ区分です。
  • 令和7年度より増えた加算額に相当する賃金改善は新たに実施し、ベースアップを基本とします。

この記事でわかること

  • 令和8年度に変わった内容と適用時期
  • 対象職種・対象サービス拡大の考え方
  • Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロの関係
  • 令和8年度特例要件の正確な内容
  • 既存事業所と新規対象サービスが今確認すること

令和8年度の変更点一覧

変更点令和8年6月以降の内容主な確認事項
対象職種の拡大介護職員だけでなく、介護従事者を対象に幅広く賃上げを行う仕組みへ拡充対象職員と配分方針
対象サービスの拡大訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に加算を新設算定要件、計画書、体制届
加算率の改定6月以降のサービス別・区分別加算率を設定4・5月と6月以降を分けて集計
新区分の創設Ⅰロ・Ⅱロを新設Ⅰイ・Ⅱイの要件に加えて特例要件を満たすか
令和8年度特例ケアプランデータ連携、生産性向上推進体制加算、社会福祉連携推進法人への所属のいずれかサービス類型ごとに利用できる選択肢
増加分の賃金改善令和7年度より増えた加算額に相当する新たな賃金改善を実施ベースアップを基本とした賃金設計
令和8年4・5月と6月以降を混同しないでください。加算区分と加算率が切り替わるため、計画・請求・実績管理では期間を分けて確認します。

変更点1|対象が介護従事者へ拡大

厚生労働省の令和8年度通知では、加算の対象を介護職員から介護従事者へ拡大するとしています。加算を原資とする賃金改善は、介護職員の処遇改善が重要であることに留意しつつ、事業所内で柔軟に配分できます。

したがって、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、事務職員なども、事業所の判断により配分対象に含めることができます。ただし、職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分は認められません。

介護パートナーPOINT
「対象が広がった=全職員へ均等に配らなければならない」という意味ではありません。対象者、配分基準、支給方法を事業所で決め、計画書・給与規程・職員への説明を一致させます。

変更点2|訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援等を追加

令和8年6月から、これまで対象外だった訪問看護、介護予防訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援等に処遇改善加算が新設されました。

これらの新規対象サービスは、従来から対象だったサービスのⅠイ~Ⅳと同じ区分構成ではありません。厚生労働省は、次のいずれかを満たす仕組みを示しています。

選択肢1令和8年度特例要件ケアプランデータ連携システムの利用、または社会福祉連携推進法人への所属。
選択肢2加算Ⅳの取得に準ずる要件任用・賃金体系、研修、職場環境等に関する所定の要件を満たす。

※適用される選択肢や加算率はサービス類型によって確認が必要です。

変更点3|加算率と区分を6月から再編

令和8年4月・5月は従来の加算Ⅰ~Ⅳ、6月以降は加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳが基本となります。ⅠロはⅠイ、ⅡロはⅡイの要件に加え、令和8年度特例要件を満たす上乗せ区分です。

区分位置づけ
Ⅰイ月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ、職場環境等要件を満たす上位区分
ⅠロⅠイの要件に加え、令和8年度特例要件を満たす上乗せ区分
ⅡイⅠイの要件のうち、キャリアパス要件Ⅴを求めない区分
ⅡロⅡイの要件に加え、令和8年度特例要件を満たす上乗せ区分
Ⅲ・Ⅳ上位区分より一部のキャリアパス要件を求めない区分

加算率はサービス種別ごとに異なります。具体的な計算は処遇改善加算の計算方法をご覧ください。

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変更点4|令和8年度特例要件

既存の対象サービスにおける令和8年度特例要件は、生産性向上や協働化に関する次のいずれかの取組です。

特例要件対象となる主なサービス類型・注意点
ケアプランデータ連携システムを利用訪問・通所サービス等。申請時点では加入・利用の誓約でも可。令和9年3月末までに利用し、実績報告が必要
生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡを算定対象となる施設・居住系サービス等。申請時点では算定の誓約でも可
社会福祉連携推進法人に所属所属法人が法令上の社会福祉連携推進法人に所属していること

特例要件を満たす事業所は、令和9年3月末までの対応を誓約することで、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳや職場環境等要件について申請時点での配慮措置を利用できる場合があります。ただし、要件が免除されるのではなく、期限までに整備・実施して実績報告する必要があります。

特例要件の内容自体は国の基準です。「自治体ごとに要件が変わる」という意味ではありません。一方、提出方法、受付窓口、期限の案内などは指定権者ごとに確認します。

変更点5|増加した加算額は新たな賃金改善が必要

令和8年度に令和7年度より増えた加算額には、加算率の引上げだけでなく、新規算定や上位区分への移行による増加分も含まれます。この増加額に相当する賃金改善は、新たに実施しなければなりません。

新たな賃金改善は、基本給または毎月決まって支払う手当を引き上げるベースアップを基本とします。ただし、賃金体系の整備途中など、ベースアップだけでは対応できない場合は、その他の手当や一時金を組み合わせることも認められています。

職場環境等要件で確認すること

職場環境等要件には、生産性向上に関する取組も含まれます。令和8年6月以降、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロでは、生産性向上区分から3以上(うち指定された項目を含む)の取組が必要です。Ⅲ・Ⅳでは2以上が基本です。

この要件を「令和8年度から上位区分だけに初めて必須化された」と単純化せず、算定区分ごとの最新要件を確認してください。詳しくは職場環境等要件の解説で整理しています。

事業所が今確認する5ステップ

4・5月と6月以降の算定区分を確認計画書、体制届、実際の介護報酬請求が一致しているか確認します。
加算収入の増加額を把握令和7年度との比較、新規算定、上位区分への移行による増加分を整理します。
賃金改善方法を確認増加額に相当する新たな賃金改善と、ベースアップを基本とした支給設計を確認します。
要件と根拠資料を照合キャリアパス、職場環境等要件、特例要件の実施状況を資料と照合します。
届出と職員周知を確認変更届や体制届の要否を確認し、賃金改善方法を職員へ分かりやすく周知します。

令和8年度対応チェックリスト

  • 令和8年4・5月と6月以降を分けて加算額を管理している
  • 6月以降の算定区分と加算率を確認した
  • 計画書・体制届・請求区分が一致している
  • 配分対象に含める職員と配分基準を決めた
  • 令和7年度より増えた加算額を把握した
  • 増加額に相当する新たな賃金改善を計画した
  • ベースアップを基本とした支給方法になっている
  • 特例要件を使う場合、令和9年3月末までの実施事項を管理している
  • 職場環境等要件の取組と公表内容を確認した
  • 賃金改善方法を職員へ周知した

よくある質問

令和8年度の変更はいつから適用されますか?

主な拡充は令和8年6月からです。4月・5月と6月以降では区分・加算率が異なります。

処遇改善加算は全職員に均等配分する必要がありますか?

均等配分の義務はありません。介護職員の処遇改善が重要であることに留意しつつ、事業所内で柔軟に配分できます。ただし、勤務実態に見合わない著しく偏った配分は避けます。

訪問看護は令和8年6月から対象ですか?

はい。訪問看護や介護予防訪問看護等に新たな処遇改善加算が設けられました。既存サービスと要件・区分が同一とは限らないため、専用の要件を確認してください。

Ⅰロ・Ⅱロは、Ⅰイ・Ⅱイより要件が簡単ですか?

いいえ。ⅠロはⅠイ、ⅡロはⅡイの要件を満たしたうえで、令和8年度特例要件も満たす上乗せ区分です。

特例を使えば要件整備をしなくてもよいですか?

いいえ。誓約で申請時点の配慮措置を利用できる場合でも、原則として令和9年3月末までに取組を実施し、実績報告で報告する必要があります。

令和8年度になったため、計画書を必ず出し直しますか?

令和8年度分の計画書は令和8年度様式で手続きします。提出後の変更については、国通知で定める変更事由に該当するかを確認し、区分変更等では体制届の要否も確認してください。

配分方法を変えると必ず変更届が必要ですか?

すべての配分変更で一律に変更届が必要とは限りません。通知で定める変更事由への該当を確認し、賃金規程の変更や職員周知など、労務上必要な対応も行います。

申請期限を過ぎた分は遡って算定できますか?

遡及算定できるとは限りません。算定開始月、計画書、体制届の提出状況を整理し、指定権者へ確認してください。

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令和8年度対応を専門家に確認したい方へ

算定区分、特例要件、賃金改善、届出の判断が難しい場合は、事業所の状況を整理したうえで専門家へ相談できます。

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参考にした公式情報

まとめ

  • 令和8年6月から処遇改善加算が拡充されました。
  • 対象職種と対象サービスが広がり、Ⅰロ・Ⅱロが新設されました。
  • 増加した加算額に相当する新たな賃金改善は、ベースアップを基本に実施します。
  • 特例は要件の免除ではなく、期限までの実施と報告を伴う配慮措置です。
  • 4・5月と6月以降を分け、計画・請求・給与・実績報告をつなげて管理します。
免責事項
本記事は厚生労働省の公表資料をもとに一般的な制度内容を整理したものです。個別事業所の算定可否を保証するものではありません。実際の申請・変更・請求では、厚生労働省および所轄の指定権者が公表する最新情報をご確認ください。

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