介護報酬改定2027で処遇改善加算はどうなる?令和9年度の最新議論と事業所が今確認すること

介護パートナー編集部作成|最終更新日:2026年9月|読了時間:約13分

令和9年度(2027年度)介護報酬改定で、介護職員等処遇改善加算(正式名称。以下、処遇改善加算)がどうなるのかは、多くの介護事業者が気にしている点です。はじめにお伝えすると、令和9年度改定の具体的な内容は、現時点では決定していません。加算率、加算区分、算定要件などは、まだ決まっていない段階です。

一方で、2026年8月28日に開かれた第263回社会保障審議会介護給付費分科会では、処遇改善加算の取得状況、制度の簡素化、継続的な賃上げなどが「論点」として示されました。この記事は、その公的資料に基づき、確定していること・検討されていること・決まっていないことを整理する記事です。介護保険サービスを対象とし、障害福祉制度とは区別しています。今後、厚生労働省の審議会資料や告示・通知が公表されるたびに更新します。

3秒で結論

  • 令和9年度の具体的な加算率や区分は、まだ決まっていません。
  • 処遇改善の方向性、加算Ⅰ・Ⅱの取得の進展を踏まえた対応、報酬体系の簡素化などが論点として示されています。
  • 令和8年度施策の効果を検証したうえで、検討が進みます。
  • 事業所は予測で制度を変更せず、現在の算定要件と運用を整えることが優先です。
  • 厚生労働省の最新資料を継続的に確認しましょう。

令和9年度介護報酬改定とは

令和9年度介護報酬改定とは、2027年度に予定される介護報酬の見直しです。「令和9年度」と「2027年度」は同じ年度を指します。介護報酬は原則として3年に一度見直され、令和9年度改定は令和6年度改定に続く通常改定にあたります(令和8年度は、それとは別に実施された期中改定です)。

現時点は、社会保障審議会介護給付費分科会で論点が示され、議論が始まった段階です。改定の内容は、審議会での検討、議論の取りまとめ、予算編成過程などを経て具体化していきます。具体的な公表日や施行日、提出期限は現時点で公表されていません。本記事では、公表済みの確定情報と、今後の見込みを分けて示します。

現時点で確定していること・検討中のこと・決まっていないこと

いま何が決まっていて、何が決まっていないのかを整理します。「確定」は令和8年度に実施済みの内容を指し、令和9年度の内容が確定したという意味ではありません。

区分 内容 事業所の対応
確定・実施済み(令和8年度) 期中改定(+2.03%、処遇改善分+1.95%)/対象を介護従事者へ拡大/生産性向上等の上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)/訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援・介護予防支援へ新設 現行の算定要件と運用を正しく満たす
検討中(審議会で議論) 他職種と遜色ない処遇改善、加算Ⅰ・Ⅱの取得状況や取得の進展を踏まえた対応、持続的な賃上げ、事務負担の軽減、処遇改善加算やサービス提供体制強化加算を含む報酬体系の簡素化、離職防止・職場環境 審議会資料を継続して確認する
未決定 令和9年度の加算率、区分の再編、算定要件、統合・廃止の有無、処遇改善加算やサービス提供体制強化加算の具体的な見直し内容、新様式・提出期限、事業所別の増収額 予測で規程や配分方法を変更しない

2026年8月28日の審議会で何が議論されたか

第263回介護給付費分科会では、「介護人材確保に向けた処遇改善等」が議題になりました。示された主な論点は次のとおりです。これらは議論のための論点であり、決定事項ではありません。委員の意見と、厚生労働省の決定を混同しないよう注意してください。

  • 他産業と遜色ない処遇改善:介護職員の賃金は改善してきたものの、依然として全産業平均との差があり、他職種と遜色ない処遇改善の実現が課題として示されています。
  • 令和8年度施策の効果検証:令和8年度改定で講じた措置の状況を「令和8年度介護従事者処遇状況等調査」で把握中で、秋頃に取りまとめる予定とされています。
  • 加算Ⅰ・Ⅱの取得状況:累次の取組による加算Ⅰ・Ⅱの取得の進展を踏まえた対応が論点に挙がっています。
  • 継続的・安定的な賃上げ:持続的な賃上げに向けた環境整備の必要性が示されています。
  • 申請や報告の事務負担:事業所・施設の事務負担軽減の必要性が論点となっています。
  • 処遇改善加算やサービス提供体制強化加算を含む報酬体系の簡素化:加算の種類が増え要件が複雑化しているため、利用者のわかりやすさや事務負担軽減の観点から、報酬体系の簡素化を「どう考えるか」が論点として示されています。あくまで論点であり、統合や廃止が決まったわけではありません。
  • 人材定着と職場環境改善:離職防止に向けた職場環境の整備が重要とされています。
「簡素化が論点になっている」ことと、「統合や廃止が決定した」ことは別です。本記事は、決定した事実だけを確定として扱っています。

令和8年度の変更と令和9年度の議論の違い

令和8年度の確定した制度変更と、令和9年度に向けた検討内容を混同しないよう、比較で整理します。

比較項目 令和8年度改定 令和9年度改定
制度上の位置づけ 期中改定(令和8年6月施行) 通常改定(検討段階)
確定状況 確定・施行済み 未確定(論点整理の段階)
対象サービス 介護従事者へ拡大+新規4サービス追加(確定) 現時点では未定
処遇改善の考え方 他職種と遜色ない賃上げの前倒し 効果検証を踏まえた整理(検討中)
事業所が行うこと 現行要件の適正な運用 情報収集と現行制度の課題整理
今後の資料更新 施行済み(通知・様式は公表済み) 審議会資料が順次公表される見込み

事業所の状況別ケース判定

いまの取得状況ごとに、確認しておきたいことを整理します。将来の制度変更を前提に動くのではなく、現行制度の確認と課題整理を進めることが目的です。

現在、処遇改善加算ⅠまたはⅡを算定している事業所

まずは現行の算定要件を継続して満たし、計画書・賃金改善・周知・実績報告の整合を保つことが基本です。上位区分でも、令和8年度特例要件の誓約事項(年度内の対応)が残っていないかを確認します。処遇改善加算の算定要件もあわせてご確認ください。

現在、処遇改善加算ⅢまたはⅣを算定している事業所

加算Ⅰ・Ⅱの取得状況や取得の進展を踏まえた対応が論点に挙がっています。上位区分に必要な要件(キャリアパス要件や職場環境等要件)と現状のギャップを整理しておくと、今後の検討に備えられます。

上位区分の取得を検討している事業所

不足している要件を洗い出します。昇給の仕組み、改善後賃金年額440万円以上の配置、介護福祉士等の配置、職場環境等要件の取組数、生産性向上・協働化(加算Ⅰロ・Ⅱロの令和8年度特例要件)などが対象です。課題を一つずつ整理しておきましょう。

令和8年度から新たに対象となったサービス

訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援は、令和8年度から新たに処遇改善加算の対象になりました。加算Ⅳに準ずる要件や令和8年度特例要件で算定している場合、誓約した事項の年度内対応と実績報告を確認してください。

現在、処遇改善加算を取得していない事業所

まずは、現行制度で取得できるかを確認します。算定要件、計画書、体制届の準備状況を点検しましょう。加算Ⅰ・Ⅱの取得状況が論点であることも踏まえ、早めの課題整理が有益です。

複数の事業所やサービスを運営する法人

計画書は法人単位で一括作成できますが、体制届は事業所ごとに提出し、提出先が分かれる場合があります。事業所間で加算区分や要件の充足状況にばらつきがないかを整理しておきます。区分変更を行う場合は変更届の要否も確認します。

令和9年度改定に向けて今から確認すること

制度が決まるのを待つ間も、現行制度の適正運用は進められます。次のチェックリストを保存して、自事業所の状況を点検してください。

  • 現在算定している加算区分を確認した
  • 現在の区分に必要な算定要件を確認した
  • 計画書と実際の賃金改善方法が一致している
  • 加算収入額と賃金改善額の対応を確認できる
  • 月額賃金改善要件を満たしている
  • キャリアパス要件の充足状況を確認した
  • 職場環境等要件の取り組みと記録を確認した
  • 職員への周知と、その記録を残している
  • 生産性向上や協働化の取り組み状況を整理した
  • 上位区分を取得できていない理由を整理した
  • 複数事業所を一括申請している場合の管理方法を確認した
  • 厚生労働省と指定権者の最新情報を確認する体制がある

賃金改善や実績報告の整合を確認するには、処遇改善加算の配分ルールや処遇改善加算の実績報告書の記事も参考になります。

制度変更の最新情報を受け取りたい方へ

令和9年度改定は、今後、審議会資料や通知が順次公表されます。介護パートナーでは、処遇改善加算の実務ガイドと最新情報をLINEでお届けしています。

自事業所の現在の取得状況の整理や、必要に応じた専門家への相談の入口としてご活用ください。

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今後の検討スケジュール

審議会での議論から事業所対応までの、通常想定される流れは次のとおりです。各段階の具体的な時期は公表されていないため、あくまで見込みです。

審議会での検討介護給付費分科会などで論点を議論

議論の取りまとめ審議報告などで方向性を整理(時期は見込み)

介護報酬改定の具体化改定率・基準などは予算編成過程等で決定

告示・通知・Q&A・様式等の公表具体的な要件・様式・期限が示される

事業所による要件確認・届出準備公表内容に沿って対応

介護パートナーPOINT

「改定されるかもしれない」という情報だけで、給与規程や配分方法を変更しないことが大切です。現時点では、令和8年度の現行要件を正しく満たし、計画書・賃金改善・職員への周知・実績報告の整合性を確保することが優先です。制度が具体化した後は、告示・通知・様式や指定権者の案内を確認し、必要な対応を早めに進めましょう。

よくある質問

令和9年度介護報酬改定はいつですか

通常改定として2027年度(令和9年度)に向けて検討が進んでいます。具体的な施行日やスケジュールは、現時点では公表されていません。

処遇改善加算は令和9年度に廃止されますか

現時点では決まっていません。制度の簡素化が論点として議論されていますが、統合や廃止が決定したわけではありません。

現在の加算区分は変更されますか

現時点では決まっていません。加算区分の再編は未決定です。

処遇改善加算の加算率は上がりますか

現時点では決まっていません。令和9年度の加算率は未決定です。

令和8年度からの対象拡大は令和9年度も続きますか

令和8年度の対象拡大(介護従事者への拡大、訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援・介護予防支援の新設)は実施済みで、現在も継続しています。令和9年度でどう扱うかは、現時点では決まっていません。

加算Ⅰ・Ⅱを取得していないと不利になりますか

取得の有無で直ちに不利になると決まっているわけではありません。ただし、加算Ⅰ・Ⅱの取得状況や取得の進展を踏まえた対応が論点に挙がっているため、上位区分の課題を整理しておくことは有益です。

今から給与規程や配分方法を変更すべきですか

予測だけで変更するのは避けてください。まずは令和8年度の現行要件を正しく満たし、計画書・賃金改善・実績報告の整合を保つことを優先しましょう。

最新の公式情報はどこで確認できますか

厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会のページや、「介護職員の処遇改善」のページで確認できます。記事末尾に公式リンクを掲載しています。

まとめ

  • 令和9年度の具体的な制度内容は、現時点では未決定です。
  • 他職種と遜色のない処遇改善、加算Ⅰ・Ⅱの取得の進展を踏まえた対応、報酬体系の簡素化などが論点として示されています。
  • 令和8年度施策の効果検証が、検討の前提として重要です。
  • 事業所は、現行制度の適正な運用と、上位区分取得に向けた課題整理を進めましょう。
  • 最新の一次資料を継続的に確認してください。

更新履歴

  • 2026年9月:2026年8月28日の第263回社会保障審議会介護給付費分科会資料に基づき新規公開

令和9年度改定の動きを継続的に確認したい方へ

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