介護職員等処遇改善加算の配分ルールを徹底解説|配分対象・賞与・一時金・職種別の考え方

この記事は2026年6月時点の情報に基づいています。
制度改正により内容が変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または所轄の自治体にご確認ください。

介護パートナー編集部作成|令和8年度(2026年度)対応

「処遇改善加算は誰に配分できる?」「事務職や管理者にも支給できる?」「賞与だけで払ってよい?」——令和8年度の厚生労働省通知・Q&Aに基づき、配分を決めるときの判断基準と注意点を整理します。

30秒でわかる結論
  • 配分額を職員ごとに一律にする必要はなく、事業所内で柔軟に決められます。
  • ただし、介護職員への配分を基本とし、経験・技能や業務内容などを踏まえて合理的に設計します。
  • 看護職、ケアマネ、事務職、非常勤職員などへの配分も可能ですが、勤務実態と配分理由を説明できるようにします。
  • 賞与・一時金も使えますが、算定区分に応じた月額賃金改善要件を先に確認します。
  • 加算収入以上の賃金改善、職員への周知、計画書と実績の整合が必要です。
この記事の前提
令和8年度(2026年度)の介護職員等処遇改善加算を扱います。令和8年6月には加算対象サービスも拡大されました。提出方法や追加資料は指定権者によって異なるため、自治体の最新案内も確認してください。

この記事でわかること

  • 配分を決めるときの基本ルール
  • 看護師・ケアマネ・事務職・管理者・非常勤職員への配分可否
  • 賞与・一時金で支給するときの注意点
  • 配分で起こりやすい不一致と運営指導への備え
  • 事業所で使える自己点検チェックリスト

処遇改善加算の配分ルールとは

処遇改善加算の配分ルールとは、事業所が受け取った加算を、どの職員の賃金をどの方法で改善するために使うかという考え方です。

現在は、旧特定処遇改善加算にあった職員グループごとの固定的な配分ルールではなく、事業所内で柔軟に配分できます。ただし「誰に、いくら、なぜ支給したか」を説明できれば何でもよい、という意味ではありません。

配分設計で守る3つの基本

  1. 加算収入以上の賃金改善を行う
    加算を運営費や設備費に充てることはできません。法定福利費等の事業主負担増加分を賃金改善額に含められる場合があります。
  2. 介護職員への配分を基本に、合理的に配分する
    他職種にも柔軟に配分できますが、職務、経験、技能、勤務状況などを踏まえて根拠を整理します。
  3. 計画・規程・支給実績・周知を一致させる
    処遇改善計画書に書いた方法と、給与台帳・明細・実績報告の内容がつながるようにします。
増加した加算額の扱い
上位区分への移行や新規算定などにより加算額が増加する場合は、通知で定める賃金改善の考え方を確認してください。「前年より入金額が増えた場合は、すべて同じ方法でベースアップ」と一律に判断せず、算定区分と該当要件に沿って整理します。

制度全体は「介護職員等処遇改善加算とは」、算定要件は「処遇改善加算の算定要件」で確認できます。

令和8年度の変更点は「配分対象」と「対象サービス」を分ける

令和8年度の改定では、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援にも処遇改善加算が設けられました。一方、従来から加算対象だった介護サービス事業所では、介護職員以外の職種への柔軟な配分が令和8年度に初めて認められたわけではありません。

論点 正しい整理
従来の加算対象サービス内の配分 介護職員への配分を基本としつつ、看護職・ケアマネ・事務職など他職種にも柔軟に配分可能
令和8年6月の対象サービス拡大 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援にも加算が新設
新設対象サービス 新しい加算の要件と計画に基づき、そのサービスに従事する職員の賃金改善を実施
介護パートナーPOINT
「全職種が一律に正式対象になった」と単純化すると誤解につながります。誰に配れるかと、どのサービスが加算を算定できるかは別の論点です。

令和8年度改定の全体像は「令和8年度処遇改善加算の変更点」をご覧ください。

配分割合は自由?職員ごとの差はつけられる?

職員ごとの固定比率や均等配分の義務はありません。経験、技能、資格、役職、業務内容、勤務時間などを基準に差をつけられます。

ただし、介護職員への配分を基本とする制度趣旨を踏まえ、配分を受けない職員も含めて内容を周知し、質問されたときに説明できる状態にしておくことが重要です。

著しく偏った配分は避ける
事業所内で柔軟に配分できますが、職務内容や勤務実態に見合わない形で一部の職員または一部の事業所だけに賃金改善を集中させることは認められていません。

配分差を設ける場合に残したい記録

  • 対象職種・対象者を決めた理由
  • 経験年数、資格、役職、勤務時間などの算定基準
  • 基本給・毎月の手当・賞与のどれで支給するか
  • 職員へ周知した資料、メール、議事録など
  • 対象者別の賃金改善額を確認できる集計表

配分対象者の早見表

職種・立場 配分の考え方 実務上の注意点
介護職員(常勤・非常勤) 配分の基本 雇用形態を問わず、勤務実態に応じて設計
看護師・准看護師 柔軟な配分が可能 従来サービス内での配分と、訪問看護への加算新設を混同しない
PT・OT・ST 柔軟な配分が可能 業務内容と配分根拠を整理
介護支援専門員 柔軟な配分が可能 施設等のケアマネと、加算が新設された居宅介護支援を区別
相談員・栄養職・調理員・事務職等 柔軟な配分が可能 介護職員への配分を基本とする趣旨と業務実態を踏まえる
管理者 職員としての勤務実態等により判断 雇用関係、兼務業務、賃金支給の実態を確認
法人役員・本部職員 個別判断 役員報酬との区別、雇用・勤務実態、対象事業との関係を慎重に確認

管理者への配分

管理者だから一律に対象外、または一律に対象という扱いではありません。介護職員、ケアマネ、看護職などを兼務している場合は、その勤務実態や賃金の支給関係を確認します。役員を兼ねる場合は、役員報酬と職員給与の区別も必要です。

事務職への配分

事務職など介護職員以外の職員にも柔軟に配分できます。ただし、介護職員への配分を基本とする制度趣旨を踏まえ、なぜその配分にしたのかを説明できるようにします。

看護師・リハ職への配分

加算対象の介護サービス事業所内では、看護師やリハビリ職にも柔軟に配分できます。また、令和8年6月から訪問看護・訪問リハビリテーション自体にも加算が新設されました。両者を分けて確認してください。

ケアマネへの配分

施設等で働くケアマネへの柔軟な配分に加え、令和8年6月からは居宅介護支援・介護予防支援にも加算が新設されました。法人内に複数サービスがある場合は、サービスごとの加算収入と賃金改善の対応を整理します。

パート・非常勤職員への配分

非常勤職員も配分対象に含められます。勤務時間に応じた按分、時給の引上げ、毎月の手当など、合理的な基準を決めて周知してください。

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賞与・一時金で支給できる?

賞与・一時金を賃金改善に使うことは可能です。ただし、全額を賞与だけで支給できるとは限りません。算定する加算区分に応じて、基本給または毎月支払われる手当による月額賃金改善の要件を満たす必要があります。

  • 自事業所の加算区分と月額賃金改善要件を確認する
  • 月額分と賞与・一時金分を計画書で区別する
  • 支給時期、対象者、計算根拠を残す
  • 年度途中に収入見込みが変わったら不足が出ないか再計算する
注意
区分名だけで「必ず加算額の2分の1」などと一律に判断すると誤る可能性があります。令和8年度通知・計画書様式で、自事業所に適用される月額賃金改善要件を確認してください。

賃金を下げて処遇改善手当に付け替えてよい?

処遇改善加算による改善分を作るために、従来の基本給や手当を恣意的に下げて付け替えることは避けなければなりません。賃金水準を引き下げる特別な事情がある場合は、通知上の取扱い、労働法上の手続き、就業規則・雇用契約との整合を個別に確認します。

配分で起こりやすい不一致

確認したい状態 問題点 事前対策
計画書と実際の支給方法が違う 計画と実績の整合を説明できない 変更理由を整理し、必要な届出を確認
加算収入より賃金改善額が少ない 算定要件を満たさない可能性 年度途中から収入額と改善額を照合
配分基準が口頭だけ 根拠を示しにくい 規程・通知文・集計表などで記録
周知記録が残っていない 周知した事実を確認できない 配布資料、メール、議事録等を保存
給与資料と実績報告が合わない 集計範囲や対象期間の誤り 対象者・期間・法定福利費等を同じ基準で照合

運営指導への備えは「処遇改善加算の運営指導対策」、返還リスクは「処遇改善加算の返還」で詳しく解説しています。

配分ルールの自己点検チェックリスト

  • 算定している加算区分と適用要件を確認した
  • 加算収入の見込額と実績額を把握している
  • 対象者、支給方法、配分基準を文書で説明できる
  • 介護職員への配分を基本とする制度趣旨を踏まえている
  • 月額賃金改善要件を満たしている
  • 職員へ計画内容を周知し、記録を残している
  • 給与台帳・明細と賃金改善額の集計表が一致する
  • 計画書・変更届・実績報告書の内容がつながっている
  • 法人一括で計画書を作成する場合も、事業所別の加算額と賃金改善額を追跡できる
  • 指定権者の令和8年度案内を確認した

よくある質問

全職員へ同じ金額を支給する必要がありますか?
いいえ。均等支給は必須ではありません。職務、経験、技能、資格、役職、勤務時間などを基準に差をつけられます。配分基準を文書化し、職員へ周知してください。
管理者にも配分できますか?
勤務実態や雇用・賃金の関係を踏まえて判断します。兼務している場合も、兼務実態と配分理由を説明できるようにします。
事務職員にも配分できますか?
事業所内で柔軟に配分できます。ただし、介護職員への配分を基本とする制度趣旨を踏まえ、配分理由を整理してください。
居宅介護支援のケアマネにも支給できますか?
令和8年6月から居宅介護支援・介護予防支援にも加算が新設されました。算定要件を満たし、提出した計画に基づいて賃金改善を行います。
看護師にも配分できますか?
加算対象の介護サービス事業所内では看護師にも柔軟に配分できます。また、令和8年6月から訪問看護にも加算が新設されています。この2つを分けて確認してください。
パート職員にも支給できますか?
はい。非常勤職員も対象に含められます。勤務時間に応じた按分など、合理的な基準を定めて周知します。
すべて賞与で支給してもよいですか?
一律には判断できません。算定区分に応じた月額賃金改善要件を満たしたうえで、残額を賞与・一時金で支給する設計は可能です。
配分方法を年度途中で変えられますか?
変更自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、職員への説明、就業規則・賃金規程、計画書との整合、変更届の要否を確認します。「処遇改善加算の変更届」も参考にしてください。

まとめ

  • 配分額は均等でなくてもよいが、合理的な基準と記録が必要
  • 介護職員への配分を基本に、他職種へ柔軟に配分できる
  • 対象職種の考え方と、令和8年6月の対象サービス拡大は分けて理解する
  • 賞与・一時金を使う場合も月額賃金改善要件を確認する
  • 計画、規程、給与資料、周知、実績報告を一連のものとして確認する

配分設計や給与規程の整合に不安がある方へ

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参考にした公式情報

免責事項
本記事は公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としています。個別の算定可否、賃金規程の変更、届出の要否は、指定権者や社会保険労務士などへ確認してください。

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