処遇改善加算の月額賃金改善要件とは?計算方法・基本給・手当・最低賃金との関係を図解でわかりやすく解説【令和8年度】

この記事は2026年6月時点の情報に基づいています。
制度改正により内容が変更される場合があります。最新情報は厚生労働省または所轄の自治体にご確認ください。

「月額賃金改善要件はいくら必要?」「賞与だけで支給できる?」「令和8年度に増えた加算額はどう扱う?」という疑問に対し、令和8年度の通知に沿って計算の考え方と実務上の注意点を整理します。

30秒でわかる結論
  • 従来から加算対象となっているサービスでは、加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てます。
  • 令和8年度の通知では、月額賃金改善要件はⅠ・Ⅱに分かれていません。
  • 賞与や一時金は賃金改善に使えますが、月額賃金改善要件として必要な部分には算入できません。
  • 令和8年度に令和7年度より増加した加算額に相当する賃金改善は、新たに実施し、ベースアップを基本とします。
  • 訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援は、令和8年6月に新設された別の要件体系で確認します。

この記事でわかること

  • 令和8年度の月額賃金改善要件の正しい内容
  • 必要な月額賃金改善額の計算方法
  • 基本給・毎月の手当・賞与の使い分け
  • 令和8年度に増加した加算額の扱い
  • 新たに加算対象となった4サービスの注意点
  • 計画書・給与資料・実績報告で確認する項目

月額賃金改善要件とは

月額賃金改善要件は、処遇改善加算による賃金改善の一部を、賞与などの一時的な支給だけではなく、基本給または決まって毎月支払われる手当で行うための要件です。

必要な月額賃金改善額 = 加算Ⅳ相当の見込み加算額 × 2分の1以上

加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲを算定する場合も、実際に受け取る加算額の2分の1ではなく、仮に加算Ⅳを算定した場合の見込み額を基準にします。

令和8年度には「月額賃金改善要件Ⅱ」はありません
過年度の資料では月額賃金改善要件Ⅰ・Ⅱという表現が使われていましたが、令和8年度通知では「月額賃金改善要件(月給による賃金改善)」として整理されています。古い様式や解説記事をそのまま使わないよう注意してください。

制度全体の要件は「処遇改善加算の算定要件」で確認できます。

令和8年度は2つの賃金改善ルールを分けて確認する

確認するルール内容注意点
月額賃金改善要件 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる 賞与・一時金は必要額に算入しない
令和8年度に増加した加算額の賃金改善 令和7年度より増加した加算額に相当する新たな賃金改善を実施する ベースアップを基本とし、難しい場合はその他の手当や一時金等との組み合わせも可能

令和8年度の増加額には、新規算定、上位区分への移行、Ⅰロ・Ⅱロへの移行、令和8年6月以降の加算率引上げによる増加額が含まれます。

介護パートナーPOINT
「月額賃金改善要件の必要額」と「令和8年度に新たに増えた加算額」は、同じ計算ではありません。計画書では両方を分けて確認してください。

必要額の計算方法

ステップ1 加算Ⅳ相当の見込み額を確認する

最新の処遇改善計画書様式を使用し、自事業所が加算Ⅳを算定した場合の見込み額を確認します。加算率はサービス種別によって異なるため、別サービスの加算率を使わないようにします。

ステップ2 2分の1を計算する

加算Ⅳ相当の見込み額に2分の1を乗じます。これが、基本給または決まって毎月支払われる手当で改善する必要額の目安です。

ステップ3 実際の基本給等の改善額と照合する

基本給の引上げ額と、決まって毎月支払われる手当の改善額を集計し、ステップ2の必要額以上になっているか確認します。

計算例

項目例
加算Ⅳ相当の見込み加算額月額20万円
月額賃金改善要件として必要な額月額10万円以上
毎月の手当による改善額月額12万円
判定10万円以上のため要件を満たす

この例は考え方を示すための仮定です。実際の計算は、最新様式と自事業所の見込み単位数・サービス別加算率・地域単価等を用いてください。

基本給・手当・賞与の扱い

支給方法月額賃金改善要件への算入実務上の確認
基本給の引上げ算入できる賃金表・給与規程・給与明細に反映する
時給・日給の引上げ算入できる基本給の引上げとして改善額を集計する
決まって毎月支払われる手当算入できる支給条件・対象者・金額を規程等で明確にする
賞与・一時金必要額には算入できない月額賃金改善要件を満たした後の賃金改善には利用できる
研修費・採用費・制服代など算入できない職員への賃金ではないため、賃金改善額に含めない

手当の名称だけで判断するのではなく、「基本給または決まって毎月支払われる手当」に当たる支給方法かを確認します。

賞与・一時金だけで支給してよい?

月額賃金改善要件として必要な部分を、賞与・一時金だけで満たすことはできません。ただし、処遇改善加算による賃金改善全体について、月額賃金改善要件を満たした後の残額を賞与や一時金で支給することは可能です。

例
加算Ⅳ相当額が月20万円の場合、月10万円以上を基本給等の改善に充てます。そのうえで、処遇改善加算による賃金改善全体の条件を満たすよう、残りを毎月の手当・賞与・一時金等で配分します。

令和8年度の増加額については、別途、新たな賃金改善を行い、ベースアップを基本とするルールも確認してください。

既存の賞与・一時金から基本給等へ付け替えられる?

処遇改善加算を新規に算定し始める場合を除き、月額賃金改善要件を満たすため、これまで賞与や一時金で行っていた賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等へ付け替えることは通知上認められています。

ただし、事業所全体の賃金水準だけでなく、各職員の賃金水準が低下しないよう努める必要があります。就業規則・賃金規程・雇用契約との整合や、労働条件の変更手続も確認してください。

基本給を下げて見かけ上の処遇改善額を作らない
処遇改善加算による改善分を作るため、従来の賃金を恣意的に引き下げることは避けなければなりません。賃金水準を引き下げる特別な事情がある場合は、指定権者と社会保険労務士等へ事前に確認してください。

令和8年6月に新設された4サービスの注意点

訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援には、令和8年6月から処遇改善加算が新設されました。

これらのサービスは、従来から対象だったサービスの加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳと同じ要件表ではありません。令和8年度特例要件、または加算Ⅳの取得に準ずる要件など、新設サービス向けの要件を確認します。

新設サービスは一律に判断しない
本記事の「加算Ⅳ相当額の2分の1」という説明を、新設4サービスへそのまま当てはめないでください。最新の計画書様式と指定権者の案内で算定要件を確認してください。

最低賃金との関係

月額賃金改善要件と最低賃金は別の確認です。最低賃金を満たしているかは、最低賃金法上の対象賃金を時間額に換算して判定します。

厚生労働省は、最低賃金の比較対象から、賞与、臨時に支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金の一部、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を除外すると案内しています。

毎月支給する処遇改善手当であっても、最低賃金の対象に含まれるかは、名称だけではなく支給条件と賃金の性質で確認してください。

計画書・給与資料・実績報告で確認すること

  • 令和8年度の最新様式を使用している
  • 加算Ⅳ相当の見込み額を正しいサービス区分で確認した
  • 必要な月額賃金改善額を計算した
  • 基本給等の改善額が必要額以上になっている
  • 令和8年度に増加した加算額の賃金改善を別に確認した
  • 給与規程・賃金台帳・給与明細の内容が一致している
  • 職員に賃金改善の方法を周知している
  • 加算受取額以上の賃金改善を実施できる見込みである
  • 新設4サービスは専用の算定要件で確認した
  • 変更届が必要な変更事由に該当するか確認した

計画書の書き方は「処遇改善加算の計画書」、加算額の計算は「処遇改善加算の計算方法」をご覧ください。

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よくある質問

令和8年度にも月額賃金改善要件Ⅰ・Ⅱがありますか?
令和8年度通知ではⅠ・Ⅱに分けず、「月額賃金改善要件(月給による賃金改善)」として整理されています。過年度の様式や解説と混同しないようにしてください。
月額賃金改善要件は加算Ⅰだけの要件ですか?
いいえ。従来から加算対象となっているサービスでは、加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの算定に必要です。
実際に受け取る加算額の2分の1を毎月支給するのですか?
必ずしもそうではありません。加算Ⅳ以外を算定する場合も、仮に加算Ⅳを算定した場合の見込み額の2分の1以上が基準です。
賞与だけで月額賃金改善要件を満たせますか?
満たせません。必要額は基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てます。要件を満たした後の残額を賞与・一時金に使うことは可能です。
パート職員の時給引上げも含められますか?
時給の引上げは基本給の改善として集計できます。対象期間、勤務時間、引上げ前後の時給が確認できる資料を残してください。
既存の賞与を減らして毎月の手当へ変更できますか?
新規算定の場合を除き、従来の賃金改善の一部を基本給等へ付け替えることは通知上認められています。ただし、事業所全体と各職員の賃金水準が低下しないよう努め、労働条件の変更手続も確認します。
配分方法を変えたら必ず変更届が必要ですか?
すべての変更で直ちに変更届が必要になるわけではありません。令和8年度通知が定める変更事由に該当するかを確認し、判断が難しい場合は指定権者へ相談してください。
要件を満たせなかった場合はどうなりますか?
算定要件を満たしていない場合は、加算の返還等が必要になる可能性があります。不足に気付いた段階で、支給や修正を独自に判断せず、指定権者へ相談してください。

まとめ

  • 令和8年度の月額賃金改善要件はⅠ・Ⅱに分かれていない
  • 従来サービスでは加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる
  • 賞与・一時金だけでは月額賃金改善要件を満たせない
  • 令和8年度に増加した加算額は、新たな賃金改善とベースアップを基本とする取扱いも確認する
  • 令和8年6月に新設された4サービスは別の要件体系で確認する
  • 計画書・給与規程・給与資料・実績報告を一致させる

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参考にした公式情報

免責事項
本記事は公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としています。個別の算定可否、賃金規程の変更、変更届の要否は、指定権者や社会保険労務士などへ確認してください。

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